もちろん、今まで持っていなかった訳ではない。学部生の時に実習用に買った白衣が、いまだ現役である。化学実習で得体の知れない化学物質がいろいろと付着しているとはいえ、一応まだ、
地の色は白といっても間違いではない。
スタッフ H : 一着しか持ってないんですか? じゃあ、クリーニングしてるときはどうしてたんですか?
ポリ: クリーニング?
あまり深く追及されるとまずいような気がしてきたので、予備を購入することに。とりあえず、相場がわからなかったので、早速ネットで検索してみる。すると、まったく予想しなかったフレーズが、次々と目に飛び込んできた。
「おしゃれ白衣通販サイト」 ・・・おしゃれも何も、白衣は白衣だと思うんだけど。
「デザイナーを起用したスタイリッシュなブランド白衣」 「イタリア式高級スーツを仕立てる職人が技術をつぎ込んで作った白衣」 ・・・えーと、なんか検索方法間違えたかな?
「白衣の枠を超えた高級感」 ・・・超えちゃまずいんじゃないだろうか。
「白衣全18色!」 ・・・もはや
白衣じゃありませんけど。
「世界に一着だけの白衣をプレゼントしてみてはいかがですか」 私が悪うございましたm(_ _)m どうやら私の感覚の方がおかしいらしい。
「勝負白衣をすでにお持ちですか?」 <バナー広告
・・・勝負下着みたいになってますが。これはおかしいでしょ?
スタッフ H : 例えばとても重要な手術をするとき、とかじゃないですか?
勝負白衣じゃないときの患者さんの立場は一体・・・。 ま、どれだけ素敵にコーディネートしても、私の場合、見てくれるのはネズミだけ。当然「格安!」と銘打ったサイトから購入。
数日後、一通の e-mail が届いた。差出人を見ると、
「制服専科」 一瞬なんのことかわからなかったが、よく見れば、なんのことはない、白衣の注文先からのお知らせメール。
思わず周りを見て誰もいないことを確認した自分が情けない。 更に数日後。
事務: 先生、お届け物です。
あ、制服専科からだよ。
ポリ:
あー、これ白衣なんだ。一着しか持ってなかったから、予備を買おうと思ってさ <大きな声で独り言
事務: ・・・そうなんですか <怪訝な顔で退室
違う、違うんだよ。そうじゃなくて、・・・(;_;)
いらんことに気を遣わせないでほしい。
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- 2012/05/01(火) 20:36:18|
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出せども出せどもなかなか取れないグラントに、作文意欲を失っていた今日この頃ですが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
ということで、あれよあれよという間に、ラボ創立1周年、である。
今月から、学部学生さんが2名加わることになった。既に1年近く頑張ってもらっているテクニカルスタッフのHさんと、間もなく正式に加わるポスドクTさんを含め、総勢5人。なかなかそれらしくなってきたものである。
足りないのは、業績だけか(;_;)
先の見えないジョブハンティングを乗り越えてきた
能天気さ精神力があれば、1年くらい科研費が取れなくても大丈夫、などと嘯いていた私。大学院時代の同期で、一足早く国立大教授になった友人Kが、着任直後胃潰瘍で入院した気持ちが今頃になってわかってきた。
自分ひとりじゃないんだよね・・・(;_;)
まあ、悩みの種は尽きないものの、実は楽しくて仕方がない♪ これまで個別のスーパーバイザーの経験はあったものの、正式な指導教員としては初めての学生さんたち。
カトウのノウガキラボ、記念すべき一期生なのである。こんな教育実績のないところによくぞ来てくれたもんだ。
ラボの名称がサトウのキリモチみたいになっているけど、気にしない♪ 嬉しくて、週一のラボミーティングなんか始めてみたり。
学生さんたちの履修登録を確認してみたり。
研究テーマをいろいろ考えてみたり。
あー楽しい♪ ←全部普通
そうだった!
初論文の時はミドルネームをつけることを学生さんにお勧めしなければ。
学生N: ミドルネーム? どうしてですか?
普通、研究業績はラストネームとファーストネームのイニシャルの組み合わせで検索することが多いからね。将来、研究者として自分の業績を調べたり調べられたりする時に、ミドルネームのない日本人は、個体識別が難しいがために損することがあるんだ。
学生N: 自分、就職するつもりなんですけど。
イニシャルが2つある方が個体識別しやすいからね。ミドルネームつけておいて損はないよぉ。<相手の話を聞いていない
学生N:
先生、自分、就職するつもりなんですけど。 最初の論文が出るときに決めておかないと、後で変えちゃったらどれが自分のものか注釈無しで主張しにくいでしょ。ちゃんと考えておかなきゃダメだよ。<相手の話を全く聞いていない
学生N:
・・・あれ? いつの間にか義務になってますが。スタッフH:
先生、パワハラです。 しまった。つい、心の叫びが。いや、けっして無理にとは言わないし、やらないと点数下げるなんてことは絶対しないけど、でもやっぱりつけてほしいなぁ。
スタッフH:
先生、パワハラです。学生N: ・・・いいです。わかりました。で、いつまでに考えておけばいいですか?
ほぉ。それは遠回しに「さっさと論文書け」と。なかなか鋭いですな。まあ、データ取ってまとめるまでに、2年ってとこかな。
学生N:
先生、自分、卒業してます。 ・・・すみません m(_ _)m
かくして、当ラボからの学生さんのオリジナル論文発表は1年後を目標とすることに。やぶへびだったか(;_;)
- 2012/04/28(土) 02:28:36|
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大学・研究所に所属する研究者にとって、今は1年で最も胃が痛くなる時期といっても過言ではない。そう。多くの研究者が科研費申請の締切を数週間後に控えているのである。
かくいう私もその一人。そこで、本エントリでは、申請書作成に頭を抱える数多の研究者のために、私の持てる限りの知識・経験を総動員して、科研費申請において「これだけは決してやってはいけない5つのポイント」をリストアップしておこうと思う。
1. 伝聞及び憶測
裁判での証言などとは異なり、科研費申請での研究の背景の説明に当たっては、ある程度の伝聞は許容されている。というか、自らの研究のみに基づく展開は我田引水の謗りを免れず、逆にマイナスに働くことが予想される。
ただ、伝聞は構わないが、どの文献を根拠にした伝聞なのか、その引用先をきちんと明記することが必要とされることは覚えておくべきであろう。つまり、
「
察するに、##は
どうやら疾患原因遺伝子
らしい」
といった曖昧な記述は避けた方が良い。あるいは、
「
この実験がうまくいかないはずがない」
などというあなたの信念に基づく憶測などは、審査委員の知ったことではないので、これもやめておいた方が良い。
また、いくら引用先を明記すれば良いとはいえ、増田のエントリなどは認められない可能性が高い。
2. 他人の悪口
研究の重要性のアピールのためには、これまで何がわかっていて何がわかっていないかを明確に書くことが必須ではあるが、ライバルを貶めて点を稼ごうという書き方は、うまくいかない場合が多い。
「過去に同様の研究を行なった○○らは、
あまりにもやり方が雑なためうまくいかず」
「△△らは
明らかな失敗を繰り返し」
といった言及は、
仮にそれが真実であるとしても、慎むことをお勧めする。万が一○○や△△が審査に加わった場合、問答無用でゴミ箱行きとなる。敵は自分が思っている以上に世間に認められていると認識すべきである。
無論、バカだのアホだのオタンコナスだのいう子供の口げんかレベルの悪口は論外である。
3. エモティコンの多用
文章に緩急をつけることは悪いことではないが、それを (^o^) だの ヽ(´ー`)ノ だの ○| ̄|_ などの顔文字に頼るのは、自らの文章力の無さを露呈することに等しい。
最近増えている研究者ブロガーは特に要注意である。使用は程々にした方が無難と思われる。
4. 台本型式
研究が予定通り進まなかった場合に備えて、バックアッププランを事前に検討することの重要性は言うまでもない。わかりやすさを強調するために、長屋の熊さん・はっつぁんの掛け合いを参考に
ポリ:ここで今流行の iPS 細胞を導入しときゃ、まず間違いねぇって。
審査委員:うまくいかなかったときは、どうするんですかい?
ポリ:そんときゃそんときだ。
といった台本型式を取りたい気持ちはわからなくもないが、
世の中、やって良いことと悪いことがある。5. 大どんでん返し
大切なことは最初に書くのが大原則である。始めからネタばれなんてつまらん!などと言ってはいけない。科研費申請書類は、必ずしも読み物として面白い必要はないのである。事実、数年前、元ボスの研究費申請書類作成の一部を担当した際、原稿を読んだボスに
「・・・アキラ。
オチはいらないから」
と言われたことがある。
これは、「オチがきまった」というところに至上の喜びを感じる、お笑い系ブロガーの最大の弱点とも言える。
どうしても書きたければ、たとえどんな審査委員が担当したとしても確実にウケるという、余程の自信のあるときだけにしておく方が良い。
私の場合、
原稿を何度読み返してもそこはかとなく漂う「脳天気」臭を解消することに、まずは専念したい。なお、蛇足ではあるが、上記のポイントを参考にされるに当たっては、
私が過去一度も、科研費に採用どころか出したことすらない(今回が初めて)ということを念頭に置いておいていただければ幸いである。
- 2011/10/11(火) 00:28:36|
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ラボが移転することになった。といっても、学内の別キャンパスだが。
白ポリ:引越しってわくわくするよね!
黒ポリ:また引越しかいな。うんざりやわ。
・・・あー、またこいつらか。
色が違うだけのエセ別人格だろ、どうせ。白ポリ:同じ自分に対して失礼な言い草だよね。
黒ポリ:自分の多面性をわかっていないんやろ。なんなら他のも連れて来よか?
赤とか青とか。
赤ポリ:ども。青ポリ:ども。 いらん。
うちのラボは、既存の学部に所属しない、大学直属の新しい部門に所属している。そのためか、運営上様々なことが試行錯誤状態にあり、今回の移転もある意味その延長線上にある。
黒:ラボ立ち上げて半年しか経ってへんのに引越しさせられるいうことは、なんか悪いことでもしたんちゃうの?
赤:してない、してない。
悪いことどころか、何も出来てないんだから。 ・・・慰めの方が痛い。
白:まあ、
心機一転して頑張れ、という親心だと思えばいいんじゃない?
だから、
何もしてないのに心機一転とかいう、その優しさが痛いっつうの。
青:
じゃあ、左遷? やかましい。 学部以来、所属したラボの数は今が5つめ。自分がラボを移動するのはもちろん大変だが、大学院時代に所属していたラボで3回引越しをした経験上、ラボが場所を移転するのもかなりのエネルギーを要する。
赤:
そうそう。得体の知れない試薬瓶とか、処分し忘れていた廃棄物なんかが見つかって、怒られてたよね。 いや、そういう話じゃなくて、実験が中断されて再開に時間がかかるという意味で・・・
青:
ラベルの無いサンプルとか、放置していたデータとかが出てきて、言い訳するのが大変だった、っていう話だよ。 ・・・そういう研究者としての資質が疑われるような話を蒸し返すの、やめてくれる(-_-#
黒:大変なら断ったらええんちゃうの。別に大学にそんなに義理立てする必要もないんやし。断ってまえ、断ってまえ。
確かに今回の移転の話は断ろうと思えば断れたのだが、研究環境としては移転するメリットの方が大きいと判断してのこと。
白:
半年経つのにセットアップも全然終わってないから動きやすいしね。不幸中の幸いと思って、前向きに頑張ろー!
・・・ぐっ。励まされてるのか、苛められてるのか(;_;)
業務連絡:こんなラボですが、ポスドク引き続き募集中です。奮って御応募ください。あ、上の話は半分フィクションですよ、フィクション。(移転は本当です)
http://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=0&id=D111080966&ln_jor=0 自宅の引越しも、大変なイベントであることは御承知のとおり。何を隠そう、先日アメリカから帰国したのが、結婚後15年で実に8回目の引越し。
白:よく、女房殺すには年に3回引越しすればいい、とか言うでしょ。奥さんに感謝しないと。
はい。感謝してます m(_ _)m 我が家に全然貯金がないのは、引越しの度に結構なお金を費やすせいでもあるからなぁ。
赤:ヤドカリだって、寿命から考えたらそんな頻繁に引越ししないよ。
黒:ヤドカリ以下やな。
青:違うよ。ヤドカリより引越しするんだから、ヤドカリ以上だよ。
なにそのヤドカリ基準の人間評価。
- 2011/10/02(日) 14:23:20|
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先日注文したブツが届いた。
早速使ってみることにする。
さほど過激ではないデザインの物にしたので、このくらいなら許されるのではないか、と。
ふふふ♪ 可愛い可愛い♪
怒られないか、乞うご期待。
- 2011/09/20(火) 19:38:30|
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水曜日から4日間にわたって開催される、第34回日本神経科学学会。日本の学会に参加するのは、実に9年ぶり。
この学会は
ラッキー残念なことに演題登録が半年も前に締め切られる。さすがに着任前後にそれをやっている余裕は無かったため、今回は遺憾ながら発表無しでの参加となる。参加するからには発表するという私のポリシーには反するのだが、せっかく帰国して自分のラボを立ち上げたのだから、この分野日本最大規模の学会に参加して、日本のサイエンスの現在の流れを肌で感じてこようと思う。
毎晩旧友と飲みに行こうなんて、これっぽっちも考えていない。ほんとに。 この学会に限らず、比較的規模の大きい学会年会の一般演題登録は、開催日の半年程度前に設定されることがままある。逆に言えば、毎年発表する場合には、学会発表の後、半年経つと次の学会発表の要旨を書かなければならないということに他ならない。これは一見当たり前のようだが、少なくとも私にとっては、要旨の書き方に悩まされる一因となり得る。
つまりは、直近半年間に得られた新データについて書かなければならないという強迫観念なのである。「前回の要旨の続きにすれば、1年分書けるじゃないか」という意見もあろうかと思うが、そこはそれ、同業者は学会発表そのものを見に来ている訳で、
「なあんだ、この間の話じゃねーか」
と思われるのは避けたいと思うのが人情である。
だったら、学会発表そのものを、要旨を書いた段階で得られたデータについてのみにすればいい、という考え方もある。しかし、
「こいつ、要旨書いてから半年間何もやってねーのか」
と思われるのも癪である <考えすぎ
ま、自分が思うほど他人は自分のことを気にしていない、と言われれば、まったく以ってその通りであろうし、
半年で学会発表一回分のネタも出せないんじゃ話にならん、と言われれば、あーごめんなさいごめんなさいごめんなさい(-o-) 学会では論文に公表済みのデータしか出さないラボもあって、そういうラボでは上記のような悩みとは無縁ということになる。アイデアやデータを盗まれることを心配しなければならないような競争の激しい分野、ポリシーの違い、その他様々な大人の事情もあるので、自分の考えを押し付ける気はさらさらないが、私自身は、歴代のボスに習い、一般演題での学会発表では、一部あるいは全部を未発表データにすることにしている。手の内を晒すデメリットよりも、議論・コメントなどから得られるメリットの方が大きいと思う、という単純な理由からである。
それでも世の中に同じ考えの人というのはいるもので、つまり、私にとって学会に参加する一番の楽しみは、自分の物・他人の物ひっくるめて、未発表データをこねくり回すことに他ならない。まだかっちりまとまっていない未発表データのグダグダ感、それが学会の醍醐味なんじゃないだろうか。
ポスター会場を回遊していると、
左半分の説得力と右半分のグダグダ感の差が半端ないポスターが散見され、それはそれで非常に楽しかったりする訳である
<左から右まで全面グダグダのお前に言われたくない? あーごめんなさいごめんなさいごめんなさい もちろん、未発表データだからといって、発表そのものがグダグダでいいということにはならないのは百も承知。理想をいえば、未発表データをいかに論文近し!と思わせるか、というのも、研究者の重要な資質である。
自省の意味も込めて、ここ数年のアメリカでの自分の学会発表ファイルを見直してみた。
おー、未発表データをなかなかうまくまとめているじゃないか。
ん? 未発表?? ・・・2007年、2008年分が、まだ未発表だよ(;_;)
- 2011/09/12(月) 00:02:04|
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着任してすぐ、テクニカルスタッフの募集をかけたときは、なんと1週間で30人の応募があり、結構あたふたした覚えがある。なので、今回はポスドクの募集広告を出す前に、脳内シミュレーションをやっておこうと思う。
まず、ポスドクのタイプを、
どこかで見たような6つのパラメーターで表すことにする。
「理解力」 ある程度の基礎知識、及び新たな情報を吸収する能力。
「スピード」 実験遂行速度、及び仕事をまとめる手際の良さ。
早ければいいってもんではない。「精密動作性」 実験系研究者には必須。日本人の売りの一つ。
「舎弟距離」 ボスを含むラボのメンバーとのコミュニケーション能力。
誰一人これを持ち合わせておらず、年中お通夜のようだったラボを知っている。「持続力」 忍耐力ともいう。
ポスドクGの辞書には無い言葉。「成長性」 学生・大学院生には重要な要素だが、
実際には現時点で能力を発揮できない場合の言い訳によく使われる。座右の銘が「大器晩成」などとほざく輩はこの点数が高い。募集するのはポスドクなので、既に成長している人に来てほしい気もする。 アメリカにいたとき周りに多くいたのは、こういうタイプ。スタンドで言えば音石明のレッドホットチリペッパーか?
仕事が早く、よくしゃべるが、緻密さに欠け、忍耐力がない。
一言でいえば、雑。 昔、「研究能力さえあれば人間性は問わない」と主張していた知り合いもいたが、やはり
このような、ザ・ワールドタイプは、ちょっとどうかと思う。
余裕があれば、
こういうポスドクGみたいな人もネタ的には欲しいが、ラボ立ち上げ段階ではギャンブルし過ぎなので、やっぱり理想は
こんな即戦力かな。スタンドなら、重ちーのハーヴェストあたりか?
ちなみにPIの場合、上述の要素のうち、「精密動作性」と「成長性」の代わりに「統率力」や「創造力」を重要視しなければならない。が、
応募者から「お前に言われたくない」という苦情が来ても困るので、自分のスペックは秘密。
万が一こういう
スタープラチナ+ヘブンズドアーみたいのが来たらどうするか。・・・PIとして身の危険を感じるので、丁重にお断り申し上げます m(_ _)m
- 2011/08/17(水) 17:43:13|
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研究者が独立先を探す際、重要な要素の一つになるのが Core Facility の充実度である。Job interview のときに、こちらから聞かなければならない必須項目の一つだ。
これまで自分が所属してきた大学・研究所の中でも、うちの大学はこの共用機器の施設がとても充実している。自前で買い揃えなくても、多くの一般的な実験を行なう設備が揃っており、私のような独立したての研究者にとっては、有難いことこの上ない。
設備だけではない。テクニカルスタッフが常駐しており、事前に依頼すれば、ルーティンワークの多くは自分で手を動かす必要もない。
ルーティンワークに費やす時間を他のことに使えるのだから、便利といえば便利なのだが、実はこれがちょっと曲者。
-----------------------------------
毎週参加させてもらっているKラボの夏休み前最後のラボミーティングで、免疫組織染色がうまくいかないという話になった。
免疫染色では、組織固定法・界面活性剤の種類や濃度・ブロッキングのやり方・反応時間や温度等、振ることのできる条件はいろいろある。私が知っている限りのコツを伝授しながら感じたのは、
「これって実験を他人にやってもらう場合の弊害だよなぁ」
ということ。
自分でやっていれば、どの条件を振ればいいか、なんとなく感触でわかるし、ちょっと自分で試してみることもできる。うっかり他人に頼んでしまうと、こちらができることは可能性のある条件を列挙するのみ。後は相手のスケジュールに従い、待つしかないので、結果として余計に時間がかかってしまうこともある。
トラブルシューティングという意味だけではない。自分でやる代わりに他人に任せるというのは、順調なうちは良いが、なにか想定外の事態が生じたときに、それが驚くべき大発見なのかどうかを判断することが難しくなる。ただの失敗を世紀の大発見と勘違いしてしまう可能性だってある。もちろん逆もある。
極端な話、
学生: 先生! A遺伝子のノックアウトマウス、体重が野生型より10倍も重い仔が生まれたそうです! Genotyping で遺伝子が欠損していることも確認してもらいました!!
先生: それは凄い。Nature に論文を出すぞ。
学生: (論文掲載後)
先生! マウスじゃなくてラットの仔でした!!なんてことになりかねない <そんなことはない
「わしらの若いときは、ルーティンワークは誰かにやってもらうなんていう発想が無かった」
などという年寄じみたことを言うつもりはない。時間の節約になることは間違いないが、それに頼りすぎると逆に時間をロスすることにもなる。要はバランスが重要なのだと思う。
もっとも、自分でやればいつも早く原因解明できるかというと、そうとも限らない。
-------------------------------------------
大学院修士の頃。とあるキットを使った酵素反応実験がどうしてもうまくいかない。酵素・基質の精製法、濃度や反応条件等、考えうる限りの可能性を試してみたがダメ。キットに添付のポジコンは動いているのに。
八方手を尽くすこと、およそ一か月。ついに原因が判明した。
なんと、
キットに入っていた EDTA 溶液が蒸留水だった。EDTA は金属イオンをキレートして特定の酵素活性を阻害する。この実験のときは、確か DNA 分解酵素の活性を反応途中で阻害するために入れる必要があったと記憶している(ポジコンはその前段階で止めたような覚えがある)。キットの中身は疑っていなかったので、まさかの結論にラボメンバー全員脱力。当然メーカーに苦情を言って、別ロットの新品キットを送らせたが、原因究明に費やした一か月は戻ってこない。
このケースでは、自分でやろうが他の人にやってもらおうが、時間のロスはたいして変わらない。それどころか、なまじ自分達の手で原因を究明してしまったがために、予想外の二次災害に悩まされることになった。
その後しばらくの間、
実験が上手くいかないと、自分の腕ではなく物を疑う習慣が大流行。 料理がまずい場合、十中八九材料ではなく腕が悪いのだということを忘れてはいけない。
- 2011/07/26(火) 21:45:22|
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私にはささやかな夢がある。これらの夢があるからこそ、
77連敗してでも独立したいというモチベーションが支えられたといっても過言ではない。
1. 論文の Acknowledgments で遊ぶ
学術論文の中で唯一、何を書いても Refereeに文句を言われないのが Acknowledgments いわゆる謝辞のセクション。以前、misssy さんが nature genetics の論文の Acknowledgments に
奥様と飼い猫の名前を入れていたのを見て、いつか私も!と心に誓った。
残念ながら、我が家には妻はいるが猫はいないので、入れるとしても家族の名前くらい。可愛いものである。
G は入れない。 *言わずもがなではあるが、「残念ながら」は「猫はいない」にかかる。
2. 学術雑誌の表紙をお洒落なイラストで飾る
ここはさすがにやりたい放題という訳にはいかないが、それでも意味のあるものでさえあれば自由度は大きい。
過去、一度だけ自分の論文がとある雑誌の表紙を飾ったときは、
妻:あたしの写真を使うのはどう?
と粘る妻を振り切って、ネズミの脳の染色像にした訳だが、次回チャンスが得られた暁には、研究に関連したイラストにしたいと思っている。
きっかけはもちろん、
あの知る人ぞ知る Cell の表紙。
Scrapper というタンパク質をモチーフに、著者の知り合いという、あの荒木飛呂彦先生がデザインしたオリジナルスタンド。カッコ良すぎる。
私は荒木飛呂彦先生を知らないのでスタンドは無理だが、幸いなことに、私のバーチャルフレンドには絵心のある人が多い。tsugo-tsugo さんや poccopen さんにお願いできないだろうかと密かに企んでいる。イラストレーターへの謝金は研究予算に組み込めないだろうか。
3. 学生さんが最初の論文を書く前にミドルネームをつけることを推奨する
以前にも書いたが、日本人研究者が日本人というだけで損しているのが、名前。
研究者の業績を測る指標の一つ、学術論文は、Pubmed などのサイトでラストネームとイニシャルで検索できる。Wikipedia によると、アメリカ人のラストネームが150万種あるのに対し、日本人は10-30万種。更に、西欧人の多くはミドルネームがあるので、イニシャルが2文字以上になる。すなわち、単純計算で
アメリカ人・・・1,500,000 x 26 x 26 = 1,014,000,000
日本人・・・300,000 x 26 = 7,800,000
個体識別できる可能性が少なく見積もっても100倍以上違うのである。当然、佐藤・鈴木・加藤などのよくある苗字の場合、名前だけの検索で個体識別してもらえる可能性は更に小さくなる。
私の場合、ささやかな抵抗手段として、KATO ではなく KATOH としているが、それでも KATOH A で検索すると200報出てくる(KATO A なら1525報)。
いくら私でも、「全部自分のです」と言うほど図々しくない。 かといって、
今から KATOH AP と改名すると、説明が面倒になる。結婚後旧姓をミドルネームにしている人もいるが、個体識別という観点からすれば、研究上の名前は最初の論文から統一されている方がわかりやすい。私がこの事実に気がついたのは、論文3-4報出した後だった。時すでに遅し。
Pubmed では数年前からファーストネームを組み合わせての検索もできるようになったのだが、
最近流行の
「幻の銀侍 (Maboroshinoginji)」君
とか
「爆走蛇亜 (Bakusoujaa)」君とかならともかく、Akira ではまだ個体識別できないし、そもそも10年以上前の論文はひっかかってこない。
自らの苦い経験を基に、うちのラボに来た学生さんには、まずミドルネームを考えてもらうことにする。ラボによっては、このようなユーモアを解さない頭の固いボスも多いかもしれないが、うちのラボは積極的に推奨する。というか、
ミドルネームをつけることに同意することを、ラボに入る条件にする <これじゃアカハラだよ もちろん、長曽我部君とか百目鬼さんとか勘解由小路ちゃんという学生さんは、免除。
論文書かなきゃ、どれも実現しないな。
- 2011/06/28(火) 17:32:55|
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