ここ にもある通り、火曜日、アメリカでは中間選挙が終わった。民主党圧勝。2年後の大統領選挙には、ヒラリー・クリントンが出馬する可能性が取沙汰されている。
でも、私はこの国で女性大統領が誕生する可能性は非常に低いと思う。今回の選挙前にも、いまだ黒人差別が話題になるような国だが、それと同様、保守的な方々が最終的に断固反対するのが女性大統領だという気がしてやまない。平等な国と思われがちなアメリカでも、実際にはしばしば根本的なところに差別が残っていることに気づかされる。
例えば昨年、ハーバード大学の学長が「女性は生まれながらにしてサイエンスが苦手だ」と(真意はどうあれ)公言し、物議をかもした。結局彼は辞任に追い込まれた訳だが、サイエンスという実力主義(と信じたい)の世界でも、このような偏見は根強い。
私の所属する Department of Neurobiology には、元々女性でありながら、9年前、42歳の時に性転換し、今は立派な男性、という教授がいる。彼(女)は高校生時代、数学・科学で抜群の成績だったにもかかわらず、一流大学ではなく、コミュニティカレッジへの進学を進められたそうだ。もちろん、意志の強い彼(女)はそんな意見に耳を貸さず、MIT に進学し、現在は押しも押されぬ有名教授。この手のジェンダー問題を、
男性・女性の両方の立場から意見を言える貴重な存在 として、nature、The Washington Post などに取り上げられている。
http://www.nature.com/nature/journal/v442/n7099/full/442133a.html http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/07/12/AR2006071201883.html ボス(女性)が「どう思う?」と苦笑いしながら、会議から戻ってきた。なんでも、今度規模の大きいシンポジウムを計画しているのだが、そのサブタイトルが、
“From Gene to Man”
うちのボスは別に気にならなかったそうだが、とある女性教授が、
「“Man” より “Human” の方がいいのでは?」
という主旨の発言をしたらしい。まあ、気になる人もいるだろうし、’human’ でいいんじゃないか、という雰囲気になりかけたところ、数人のお年寄りの大御所男性教授連が、
「“Man” でないとダメ」
と駄々をこねたとのこと。
どっちでもよければ、より問題の少ない方にすればよさそうなものだが、彼らは、こういう場合には昔から ‘Man’ を使うから、と頑として譲らず、サブタイトルは結局 ‘Man’ になった。
なんか、いかにも日本で起こりそうなことだが(^_^)、自由の国アメリカでも、頭の固い人たちはいるもんだなあと思った次第である。
ところで、私が働いている建物には、各階に男性用・女性用どちらかのトイレしかない。うちのラボのある階は女性用のみなので、私の場合、上の階か下の階、どちらかに行く必要がある。
けど。
前述の性転換した教授、
見た目はどこからどう見ても「おっさん」 (^o^) にもかかわらず、この人、
男性用トイレにも女性用トイレにも出入りしている 。彼が元女性だったことは周知の事実であるせいなのか、誰も文句は言わないようなのだが、ちょっとずるいと思うのは私だけ?
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2006/11/11(土) 09:51:23 |
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