これまでの人生、基本的に私は周りの人間に恵まれていると思う。今のラボでも、人間関係で嫌な思いをしたことは、4年間で一度もない。
とはいえ、毎日毎日同じ面子と顔を合わせていると、プチ気まずい場面に遭遇することもままある。以下は、うちのラボで比較的頻繁に起こるシチュエーションである。
うちのグループは、4人のポスドクがそれぞれ独立のプロジェクトを持って実験している。動物飼育施設の一室が我々のラボに与えられ、そこで各々自分のマウスを飼っているので、実験の際には、動物飼育施設から自分のマウスをカートに乗っけて、実験室まで運んで来なければならない。
この動物施設、実験室からちと遠い。往復15分くらい。なので、実験に使用するマウスは自分で持ってくるが、実験が終わり、マウスを施設に戻す段になると、結構億劫になる。カートがあるので、マウスケージ1つ運ぶのも5個運ぶのも手間としては一緒な訳で、次の実験予定者が自分のマウスを取りに行くとき、あるいは実験を終えて施設に戻しに行くときに、ついでに持って行くくらいは、誰にとっても大したことではない。
―アメリカ人ポスドクEの場合―
彼は実験を終え、次に私がサインアップしているとする。実験室に行くと、マウスケージが置いてあり、上にはメモが。「これ、ついでに戻しといてくれると助かるんだけど。サンキュー」 ・・・本人はズラかっているので、問答無用である。
黒アキラ:ったく。このままほっといたろか(-_-#
白アキラ:しょうがないよ。別に大した手間でもないし、ついでに戻しといてあげれば?
お、出てきたな、
天使と悪魔。 ま、毎回という訳でもないし、実際のところ、彼と心理的駆け引きをすることはないので、スマートなやり方だともいえる。
―アメリカ人ポスドクAの場合―
彼は元々気を遣う性質なので、同様のシチュエーションでも、逆に
「ケージ番号教えてくれれば、俺のを戻すついでに、お前のマウス持って来てやるよ」
などと言う。そうまで言われるとこっちのボランティア精神も刺激される。
白アキラ:お互い様だし、快く持って行ってやろうよ。
黒アキラ:おいおい、始めっから計算しつくされた作戦かもしれへんで。人がええのもほどほどにしといた方がええんちゃう?
・・・いや、そんな疑わんでも。
白アキラ:いいじゃん。
今度なんかおごってくれるかもしれないし。 ・・・こらこら。
彼との場合、お互いに自分から協力を申し出ることが多いので、特に気まずくなることもないが、たまたまどっちかに頼むことが続くと、微妙に頼みにくくなって、あえてタイミングを外したりすることもある。
―中国人ポスドクGの場合―
こいつの問題点は、始めっから人に頼もうとする姿勢である。別に悪い奴ではないのだが、こっちから申し出る前に、
毎回 G:悪いけどついでに持って行ってくれる?私、ちょっと用事があるし
と言われると、あまり気分はよろしくない。
白アキラ:ま、ついではついでだし、持ってってあげれば?
黒アキラ:用事があるとか言うて、ネットサーフィンしてたりすんねんで。おかしいやん。
白アキラ:
自分だってネットサーフィンしてるじゃん。 しまった。
Gの次に誰もサインアップしていないときでも、うっかり実験室に入ると、
G:あとどれくらいラボにいる?
これには注意して答える必要がある。うっかり1時間とか答えてはいけない。
黒アキラ:ほれ、また"Would you mind …?"が始まったやんけ。甘い顔してるとつけ込まれるで。
白アキラ:頼まれちゃったものは仕方ないし、やってあげれば?
黒アキラ:忙しいって言うたらええやん。
白アキラ:それよりも、
飼育部屋でめっちゃわかりにくいところに戻しておけば?二度と頼まれないかもよ。
・・・言ってることは、ある意味白黒違わないように聞こえるんだけど。ほんとに君ら、天使と悪魔か?
白アキラ:
(ニヤリ) 黒アキラ:
(ニヤリ) ・・・こえーよ(-_-)
- 2007/04/22(日) 23:23:55|
- 日々是研究 ―ポスドク研究者の日常
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ちなみに白は本来山形弁なのですが、シャイなので標準語を話しております。山形人が関西行っても山形弁しゃべらないのと同じです。
関西人は世界中どこに行っても関西弁ですが (^_^;
- 2007/04/24(火) 14:06:32 |
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